御社の商品やサービスを市場に出す際、「見た目の違い」が選ばれる理由になることがあります。機能ではなく、形状・デザイン・装飾といった外観の工夫に価値がある場合、それらを意匠(デザイン)として法的に保護することで、他社による模倣を防ぎ、ブランドの信頼性を高めることができます。
しかしながら、外観デザインは視覚的に認識できるため、すぐに模倣されやすいというリスクもあります。
そこで、意匠登録出願によって、製品のデザインを独占的に使用できる権利(意匠権)を取得し、市場での差別化と企業価値の向上を図ることが重要です。
ここでは、意匠登録のメリット・デメリット、出願の流れについて詳しくご紹介いたします。
意匠権とは?
意匠権は、物品の形状や模様、色彩等である工業デザイン、視覚に訴える特徴を独占的に使用することができる法的権利です。
特許が「技術的アイデアの保護」を目的としているのに対して、意匠は「目に見えるデザイン」の保護に焦点を当てています。
とくに、工業製品や雑貨、UI(画面デザイン)など、見た目の印象が消費者の購買行動に強く影響する分野では、意匠権を取得することで、大きなビジネス上の優位性を得ることができます。
こんな方におすすめ
こんな方にお勧めです!
- 商品やパッケージの見た目を模倣されないようにしたい方
- 商品が持つブランドの世界観や美的価値を法的に保護したい方
- 他社との差別化ポイントが「デザイン」にある方
- 製品の開発意欲・デザイン力を社内外にアピールしたい方
- デザイナーのモチベーション向上に、知的財産の取得を活かしたい方
- 補助金・助成金申請や融資審査で、デザイン力の裏付けとして意匠権を役立てたい方
意匠権取得のメリット
デザインを独占できる
意匠権は、物品のデザインを独占するための権利です。商品の顧客吸引力がデザインにある場合に、その商品に対して意匠権が付与されれば、他社がそのデザインを模倣することができず、高い収益をえることができます。
デザインの模倣を法的に防止できる
意匠権の取得により、同一または類似の意匠を、他社が無断で製造販売することを防止することができ、模倣品を法的に排除できます。また、特許権の場合と比べて、意匠権に抵触するか否かの判断は容易ですので、模倣品排除のための監視コストを抑えることができます。
特許権と比べて早く登録されやすい
特許権取得の場合と比べて、審査が比較的スムーズに進み、早期に意匠権を取得することができる傾向にあります(通常7か月~1年程度)。
企業価値や知的資産の評価が高まる
特許権の場合と同様に、意匠権も財産的価値を有するため、第三者にライセンスを与えたり、売却することも可能です。自社が取得した知的財産権は、財務三表に数字として表れませんが、M&A等の場面では、特にデザイン系の企業であれば、意匠権の有無が企業価値評価に影響を及ぼし、意匠権を有することで有利に作用することも可能です。
意匠権取得のデメリット
技術的な要素は保護されない
意匠権は、あくまで、「外観」を保護するものです。内部構造や機能に関しては、特許制度など別制度での対応が必要です。
なお、機能に関して、外観から生じる機能であれば意匠で保護される場合もありますが、特許権取得とあわせて検討をすることをおすすめします(意匠権と特許権の両方の取得。)
登録されても類否判断が難しい場合もある
特許権の場合と比べて、意匠権は抵触するか否かの判断は容易ではありますが、それでも視覚的印象の比較に基づくことから、特許権の場合と比べて線引きがあいまいになりやすいというデメリットがあります。
デザインコンセプトが他社に知られる
意匠権を取得すると、意匠公報にデザインが掲載されるため、競合にデザインコンセプトが知られてしまうことがあります。
これにより、意匠法的には、非類似のデザインであっても、類似のデザインコンセプトを施した他社製品が投入された場合には、ブランド力が強いとは言えない状況であれば、他社製品を排除することができなくなります。
継続的な維持料納付が必要
特許権を取得した場合と同様に、意匠権を維持するためには、意匠登録料を毎年納付する必要があります。
ただし、特許権の場合と比べて、意匠登録料は廉価ですので、特許権を維持するための負担より軽いといえるでしょう。
当事務所の意匠登録出願までの流れ
初回ミーティング
まずは、お電話かメールにて予約をお取りいただきます。初回ミーティングでは、御社の困っていること、依頼したいことを明確にしたうえで、商品の内容やデザインについてヒアリングを行います。
お見積書の送付
ヒヤリングの内容に基づき、お見積書を送付し、クライアント様のご要望にあわせた調整を行います。
なお、当事務所では、図面の数によって弊所手数料が変動しますので、お見積書の内容と実際のご請求額が異なる場合がございますが、特許出願手続と比べてその差は小さいと考えます。
また、初めて当事務所に依頼されるクライアント様には、お見積書に記載の金額の半額をご入金いただいてから、次のステップに進むようにしています。
図面(写真)および出願書類の作成
お見積書の内容にご納得いただいたうえで、先行調査を行ったり、意匠登録出願に向けた具体的な書類の作成したりします。
写真の撮影については、正式な依頼がされたときに、物品の送付先を指定しますので、指定された場所に物品を送付してください。
写真が完成しましたら、当事務所にて出願書類を作成し、クライアント様に送付いたします。
出願書類をご確認いただき、修正箇所としてご指示いただければ、内容を修正します。
意匠登録出願
出願書類案について、修正箇所がなく、出願のご指示がありましたら、意匠登録出願手続を行います。
その後、請求書を出願の控えとともに発送いたします。
意匠権取得までサポート
特許庁から拒絶理由通知又は登録査定が届きましたら、随時、ご連絡いたします。
その際に、必要な手続や費用についても、ご連絡いたします。
意匠権取得まで、サポートさせていただきます。