ビジネスと知財

起業時の商標権取得は成功の必要要件-突然事業停止に陥らないために

起業を目指し準備をされている皆さん!

あなたの会社名について、商標の検討をされていますか?

商号を取得すれば、大丈夫と思っている方

かなり危ないです。

今回は、起業時に商標権を取得することの重要性について、解説していきます。

商標を取得していなかったために、事業を停止するような事態を避けるべく、
スタートアップ事業者はもちろん、スタートアップ支援をされている皆様も、ぜひともご一読ください。

会社名について商標権を取得するようにしましょう

商標は、自分の商品やサービス等を、他人の商品やサービス等と識別するためのもので、
ブランドの一つと考えてもよいでしょう。

商品やサービスについて商標権を取得することについては、最近では常識になりつつありますが、
会社名や屋号について、商標権を取得したほうがよいことについて意識が向いていないケースが見受けられます。

事業が長期に継続するほど商標リスクが大きくなる

起業時に設定した会社名や屋号が、商標権侵害に該当した場合、
その会社名や名称を使ってビジネスを進めることができなくなります。

起業して間もないときに、警告書が届き、会社名や屋号を変更する事態に陥ったのであれば、
ちょっと高い勉強代だな
で済むかもしれません。

しかし、ある程度時間が経ち、利益が出始めてた段階で、警告書が届いたときはどうでしょうか。

ちょっと高い勉強代では済まなくなります。

一からビジネスをやり直せばいいという問題ではすみません。

今まで得た利益を返還したり、
事業者の信用が落ちたり
マイナスの影響が大きくなります。

このような事態に陥らないためにも、
創業段階での会社名・屋号の商標権取得をおすすめします。

商標権取得は代理人に頼んでも1区分あたり十数万程度

商標権の取得にあたり、特許庁に所定の料金を支払う必要があります。

特許庁に支払う印紙代は、区分数によって異なり
 出願時に、3,400円に1区分あたり8,600円
 登録時に、1区分あたり32,900円
の料金を支払う必要があります。

1区分であれば、
 出願時に、3,400円+1✕8,600円=12,000円
 登録時に、32,900円
の合計44,900円の料金が必要です。

2区分であれば、
 出願時に、3,400円+2✕8,600円=20,600円
 登録時に、65,800円
の合計86,400円の料金が必要です。

このように、区分数が増えれば、特許庁に支払う印紙代は増えていきます。

代理人である弁理士に依頼した場合、特許庁に支払う印紙代に加えて、
代理人手数料(代理人費用・成功報酬等)をお支払いする必要があります。

しかし、1区分であれば、せいぜい十数万程度です。

商標登録出願を行わずにビジネスを進めたときのリスクの大きさを考えると、
商標権を取得して法的リスクを低減することは、ビジネス成功に必要なことといえるでしょう。

創業時に商標権を取得しなかったために店舗外観等の変更で100万円以上の出費発生事案も

実際にあった事例として、
福岡県内において、今から30年前以上に起業した、その地域に1店舗だけ運営している飲食店のお話をさせていただきます。

その飲食店では、地域の飲食店での一般的な価格帯よりやや高い価格帯でのサービス提供を行っており、それなりの利益を出していました。

しかし、都内の事業者が、飲食店の創業と同じ頃に、その飲食店に似た商標を出願し、商標権を取得しました。

商標権を取得している事業者から警告書が届き、弁理士に相談したところ、
商標権は確かに侵害しているが、損害は発生していないとアドバイスし、その旨を回答しました。

その結果、屋号等を変更することでトラブルを解決することができました。

しかし、屋号の変更に伴い、看板や店舗入口の表札、メニュー表、ホームページの更新などで100万円以上出費が発生しています。

しかも、屋号が変更となったことにより、客足が若干減少しています
(もっとも、その地域では有名な飲食店のため、大きな影響は出ずに済んでいます)。

この事案では、飲食店の屋号について商標権を取得していなかったことにより、
本来必要でなかった経費を出費する羽目になりました。

創業段階では、まず、会社名、屋号について商標を取得するようにしてください。

新型コロナの影響で商標権侵害が検知されやすくなっている

ところで、この事案では、
福岡県内のある地域(しかも、政令指定都市ではない)に1店舗だけ構えていたにもかかわらず、
都内の事業者が、商標権侵害を検知しているところにも注目すべきです。

新型コロナの影響で、インターネットを活用してビジネスを進めることが一般的になり、
それにより、商標権侵害の検知が、従来以上に容易になったからだといえます。

新型コロナ前は、インターネットを活用して営業活動を行う事業者はそれほど多くはありませんでした。

このため、商標権侵害を検知するには、地理的制約が大きく影響されていました。

しかし、ビジネスの形態が大きく変わり、
インターネットを活用してビジネスを進めることが一般的になったことから、
インターネットで検索するだけで、商標権侵害を検知することができるようになりました。

このため、
最近では、商標権侵害によるトラブル事案が急激に増えています。

ビジネスを安全に進めていくためにも、
創業段階では、まず、会社名、屋号について商標を取得するようにしてください。

商標権等の知的財産の相談は弁理士にお任せしましょう

知的財産権制度は複雑な制度であり、専門的な知識が必要となります。

特許庁や文部科学省などのウェブサイトでは、知的財産権制度に関する情報が提供されていますが、個別の案件について具体的なアドバイスを受けることはできません。

そこで、知的財産権に関するご相談は、弁理士に相談することをおすすめします。

弁理士は、知的財産に関する専門家として、特許出願や商標登録などの手続きを代理で行うことができる国家資格者です。

また、弁理士は、企業や個人に対して、知的財産権に関するコンサルティング業務も行っています。

知的財産権に関するご相談は、お気軽に弁理士にご相談ください。

  • 専門家のアドバイスを受けられる
  • 手続きをスムーズに進められる
  • 権利侵害のリスクを回避できる
  • 事業戦略の策定に役立てられる

また、安倍・下田国際特許事務所では、時間制限や回数制限はありますが、無料のオンライン知財相談会を開催しています。

詳しくは、以下のページを御覧ください。

オンライン無料相談会

2024/2/20  

所定の日時に無料のオンライン相談会を行います。ZOOMを用いたオンライン相談会となります。知的財産で ...

-ビジネスと知財