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ビジネスモデルを発明に?!~発明の4つの要件-知財入門講座(5)

新しい技術的なアイデアを特許権にするためには、特許出願を行うことが必要です。

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発明を特許にするには~特許の申請から消滅まで-知財入門講座(4)

2024/2/23  

技術的なアイデアである発明を、権利として保護するためには、特許制度を利用することを第一に考える必要が ...

しかし、技術的なアイデアが完成したからといって、直ちに、特許出願を行ってはいけません。

特許出願前に事前に調査・検討しておくべき事項として、最低でも次の5つが挙げられます。

  • 発明に該当するか
  • 特許出願すべき発明であるか(営業秘密として管理すべき発明か)
  • 同一・類似技術が存在するか
  • 発明者・特許出願人は誰か
  • 明細書・特許請求の範囲をどのように記述するべきか

知財入門講座第5回では、特許出願前に調査・検討すべき事項の一つである発明の該当性について説明します。

発明と認められるための4つの要件

特許法では、発明を次のように規定しています。

この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

このため、発明と認められるためには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 自然法則を利用していること
  • 技術的思想に該当すること
  • 創作であること
  • 高度であること

経済法則やビジネスの法則は発明に該当しない(自然法則を利用していること)

発明に該当するためには、まず、その技術が自然法則を利用していることが必要です。

自然法則、つまり、自然界において経験によって見出される法則であることが必要です。

計算方法経済法則ビジネスの法則暗号作成法心理法則などは、
たとえ、新しいものでも、産業の発展に寄与するものであっても、
発明には該当せず、特許を受けることはできません。

また、発明は、自然法則を利用したものでなければなりません。

このため、
万有引力の法則や熱力学第1法則のような、自然法則そのものは、発明には該当しません。
「利用」しているわけではないからです。

また、永久機関のように、自然法則に反するものも、発明には該当しません。
自然法則を「利用」しないものに該当するからです。

文章や図面などで表現できないものも発明に該当しない(技術的思想であること)

発明に該当するためには、それが技術的思想であることが必要です。

技術は、一定の目的を達成するための具体的手段であり、
文章や図面、数式や化学式等で他人に伝達可能な知識です。

このため、特許明細書や図面において、再現性のある知識を伝達することは可能です。

これに対して、技能は、技術を使用し、作業を遂行する能力であり、
他人に伝達することは不可能です。

例えば、フォークボールを投球することができる技術があり、
これをピッチングマシンとして組み立てた場合には、技術となり、発明に該当しますが、
ピッチャーがフォークボールを投球する方法をマスターしたとしても、
それを言語化して、再現性のある方法として伝達することはできないため、技能となり、発明に該当しません。

また、絵画や情報の単なる提示は、技術に該当しませんので、
発明として認められないことになります。

その上で、発明は、技術的思想であるため、抽象的な観念や概念で十分とされています。
しかし、目的達成のための手段としての思想であることから、ある程度の具体化が必要となります。

発明は単なる発見ではない(創作であること)

発明は、創作ですので、人為的に作り出す必要があります。

つまり、
何か天然物や自然現象を発見したという単なる発見では、発明とは認められないということになります。
天然物から有用な用途を発見し、応用して新しい商品を開発するような場合には、発明と認められます。

発明が求める高度とは(高度であること)

発明では、技術的思想の創作が高度であることを求めています。

この「高度であること」は、実用新案制度の差別化を図るために、便宜上入れたものですので、実務において、高度性が求められることはないと思っていただいて、何ら問題ありません。

ビジネスモデル特許⇒IT技術を使う方法に変換しよう

ビジネスモデル特許は、ビジネスを行う方法に特徴があり、
「自然法則を利用していること」
の要件を満たさないため、発明に該当しないとも考えれます。

しかし、ビジネスモデルをIT技術、
例えば、サーバやデータベースの機能を活用するものであったり、
AIを活用するものであったりする場合には、
AIやIT技術を使う部分に、自然法則を利用していますので、
発明に該当することになります。

発明に該当しても産業上の利用可能性がなければ特許取得はできません

発明に該当するとしたとしても、産業上の利用可能性がなければ特許を取得することはできません。

産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。

産業上の利用可能性がないと判断される発明は、次の3つが挙げられています。

  • 業として利用できない発明
  • 実際上、明らかに実施できない発明
  • 人間を手術・治療・診断する方法の発明

業として利用できない発明

例えば、喫煙方法や、実験的にのみ利用される発明等が該当します。

特許法は、産業の発達に寄与することを最終目的としていますので、
産業の発達に影響を与えない個人的・実験的にのみ利用される発明については、特許を受けることはできません。

実際上、明らかに実施できない発明

例えば、地球を紫外線吸収膜で覆う方法等が該当します。

実際上、明らかに実施できない発明については、
産業の発達に役立つことはありませんので、特許を受けることはできません。

人間を手術・治療・診断する方法の発明

人間を手術・治療・診断する方法の発明については、
仮に、特許が与えられた場合には、現に医療行為に当たろうとする医師にとって、
これから自分が行おうとしていることが特許の対象になっているのではないか、
などということを心配することになり、
円滑な医療行為の妨げになってしまいます。

医療行為に当たる医師をこのような状況に追い込む制度は、医療行為というものの事柄の性質上、著しく不当です。

しかし、現在の特許制度では、このような結果を防ぐための措置を講じていないことから、
医療行為そのものに対しては特許性を認めていません。

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